本ブログは、”大手ハウスメーカーでこれから家を建てよう” 、”これから売却しよう”と思われている方に是非、参考にしていただきたいと考えています。
はじめに(家づくりを失敗しないために)
本記事を読むと大手ハウスメーカーで家を建てる場合、ハウスメーカーとの駆け引きを 有利に進めるための対策とその戦略がいかに重要かということがおわかりになられると思います。
また私の家の売却事例を例とし、新築から数年経過した時点で “自分の大切な資産である家の価値がどの程度であるのか(いくらの値段で売れるのか)” についての情報も併せて発信したいと思います。
私は数年前に家を大手ハウスメーカーで新築しました。
家は一生に一度の買い物といわれるものなので、安心感のある大手ハウスメーカーで家を建てることにしたのです。
当初は大手ハウスメーカーで家を建てれば安心と思っていました。
しかし家を建てるという経験は初めてだったので、大手ハウスメーカーのペースに乗せられそうになり、当初の思惑とはだいぶ異なる事態となりました。
この実際の経験から言えることは、”大手のハウスメーカーで家づくりを行うには、ハウスメーカーとの駆け引きに負けないよう、買い手側も十分な準備をしてやりとりに臨むことが必要” ということです。
もう一度チャンスがあれば今度はもっとうまくできるのにという思いはあります。
しかしそれも簡単には叶わないので、これから大手ハウスメーカーで家を建てられる皆様が、大手ハウスメーカーにペースを乱されず、家づくりを成功されますよう、参考情報を発信したいと思います。
大手ハウスメーカーで家を建てる場合は、車のようにメーカーから商品を買って、至れり尽くせりのサービスを提供してくれるという感覚でいると、思わぬ落とし穴が待っています。
大手のハウスメーカーは大資本の大企業です。家を建てるにあたり、一個人が大企業相手にビジネス取引をする為、戦略的な駆け引きを含めた攻略法をもって、やり取りに臨む必要があります。
“大手ハウスメーカーで家を建てる” その選択について
家づくりにあたって、ブランドイメージの高い大手ハウスメーカーを選択した場合でも、他の工務店や建築事務者を選択する場合と手順そのものはさほど変わりません。
ただし、いわゆる良心度や、家づくり上のやりとりという点においては、ユーザーの期待を裏切る可能性はかなり高いかもしれません。
なぜなら大手ハウスメーカーは超大企業なので、”お客個人の利益より、自社の利益を追求する” のが彼らの最優先事項だということです。
法人ではなく、一個人相手の取引であるので、大手ハウスメーカーとしては自分たちの労力は少ない方が良いのです。
お客が依頼してきた注文住宅には、“設備もたくさんつけた豪華仕様の家をできるだけ値引きなしで買ってもらいたい” というのが本音にあります。
ですので、CMの謳い文句のように、“お客さんのための幸せな家づくりを手助けしたい“ というのは建前でしかありません。
実際は、ハウスメーカー自体がお客さんに家を買ってもらって”自分たちが幸せになりたい“ というのが本音でしょう。
そもそも大手ハウスメーカーで家を建てよう(建売を買おう)とお考えの方には、それ相応の理由をお持ちではないでしょうか?
例えば、
- “TVCMのように素敵に快適に生活できそう”
- “家を建てた後に不具合がでた場合でもアフターサービスが充実していそう”
- “数十年の保証が付いてくる”
等です。
私自身も大手ハウスメーカーで家を建てようと決めたときは、このように思っていました。しかし結果から言うと、家の打ち合わせから新築直後まで問題イベントが立て続けに発生しました。
大手企業が個人のお客に対して誠実に仕事をしてくれていれば、(普通にちゃんと仕事をしてくれていれば)起こらないような不具合がたくさん起こりました。
例えば、
- 契約書の記載ミスでサインや捺印のやり直しのために遠方の本社まで呼び出し。
- こちらの要望や希望は聞かないでハウスメーカーの都合で家の仕様を決めようとする。
- どんなキッチンやバスなどの設備も好きなのをつけられると言っていたのに、いざ話が進むと限られた数種類からしか選べない等の制約があった。
- 外構工事のミスで埋設の電気配線が埋設されずむき出し。
- 廃材等を敷地内に埋めて投棄。
- 外構のコンクリートの寸法違い施工。
- 内装の埋め込み棚の破損。
- 階段の施工不良で隙間発生。
- 遠まわしに担当者から謝礼をほのめかされた。
- 施工後のアンケートで顧客満足度満点記入を要求
等です。
私の職場でも、大手のハウスメーカーで家を建てた人達は同じような経験をしていました。
以上まとめると、大手ハウスメーカーで家を建てる場合は、“一個人対大企業” の構図になるため、時として、お客とハウスメーカーの立場が逆転し、彼らが買い手の希望を軽んじるような場面が出てきます。やりとりの際には十分な注意が必要です。
ただし、こちらが大手ハウスメーカーの仕事のやり方をコントロールすることができれば、大手ハウスメーカーならではの高品質な家を、希望に近い形で建てることが可能になるとも言えます。
理想の家を建てるために
ここまで書いてきたように、ユーザーが理想の家を建てるにはそれなりの苦労を伴うことをなんとなくわかっていただけたのではないでしょうか。
ここからは希望の家にするため、以下について考えてみましょう。
大手ハウスメーカーを選ぶ理由
大手ハウスメーカーをあえて選択する理由は以下の内容が当てはまる場合が多いようです。
・丘の上にある大手ハウスメーカーの家が立ち並ぶスマートタウンで、憧れのブランドであるハウスメーカーの家のオーナーになりたい!
・家のことは素人でよくわからないので、名前の通った大手ハウスメーカーに相談して自分の理想に近い家を建てたい!(もしくはマンションのように即入居できる建売を購入したい!)
といったところでしょうか?
なぜなら家のデザイン、内装、間取りなど、平均水準以上の品質の家で快適に生活できそうです。
ブランドイメージの高いハウスメーカーで家を建てる事そのものが満足感や優越感を与えてくれそうです。
モデルハウスや住宅展示場などで実際に大手ハウスメーカーの家を見ると、今住んでいる賃貸マンションやアパート等とはだいぶ異なり、広くて、きれいで住み心地もよさそうに感じます。
ブランド好感度の高い大手ハウスメーカーの家で、安全に快適に暮らしたいという想いは、納得できる十分な動機と言えそうです。
結局のところ ”大手ハウスメーカーで家を建てたい” という想いは、本人が “家に対して何を求めているのか、何に価値を見出すのか” で決まってくるということでしょう。
大手ハウスメーカーに依頼したい人
自分たちで間取りを検討する時間の余裕がない人や、家のことは素人でわからないので専門家に任せたいという人は意外とたくさんいます。
ブランド好感度の高い “名の通った大手ハウスメーカーに相談すれば大丈夫だろう“ という考えの人が多いです。
”家のことは素人で快適な間取りなど、専門的なことがよくわからないので、専門家であるハウスメーカーに相談して理想に近い家を建てたい”ということですね。(もしくはマンションのように即入居できる建売を購入)
ネット上でも専門家であるハウスメーカーや住宅購入相談会で相談するという話はよく書かれています。
大手ハウスメーカーは個人のお客相手に、家という高額商品を売るビジネスですから、特別な希望がない限りは、問題のある家になることはなく、無難な間取りの無難な外観の家が建つでしょう。
もちろんお金さえ出せばいくらでも具体的な相談に乗ってくれ、費用のかかりそうな家づくりプランの提案も喜んでしてくれます。
家づくりでどうしても譲れない希望条件
家を建てたい人は、自分の希望や優先事項があるはずです。これが決まらないと、とにかく先にすすめません。
当然のことながら、ユーザー各自で希望は異なると思います。
“希望条件を満たす” ほど “自分の理想の家” に近づきます。
なので家づくりを進めていくうえで、自分の軸がブレないように希望条件をリスト化するなど、明確にしておくべきでしょう。
以下に希望条件の一例をリストアップしました。参考にして自分の希望条件やその優先順位を明確にしてみてください。
- 土地も含めて地震や火事などの災害に強い
- 断熱・気密性に優れ、夏は涼しく、冬は暖かく過ごすのに電気代がかからない
- 太陽光発電などの設備を備えたZEHがよい
- 間取りが良く住み心地が良い
- 日々の家のお手入れが楽なこと
- 快適環境設備(全館空調でクリーンな空気、防音性の高い家、光をたくさん家に取り込める家)
- 自分好みの間取りを実現する、設計自由度が高いこと
- 内外装含めて、自分の好きなデザインを実現できること
- 自分の趣味(ガーデニング、ガレージの車いじり等)のための空間づくりができること
- 価格の適正度(低コストの家、高級な家、高価でもそれに見合った見返りのある家)
- 通勤、通学時間を考慮した立地
- 価値のある立地(学校、病院、スーパー、公園、郵便局、駅が近いなど)であること
- メンテナンスやアフターサポートが充実していること
- 将来的に売却も考慮して家の価値が下がらない家
これらはあくまで一例にすぎませんが、客観的に見て、自分たちの希望条件を満たしてくれそうで、その分野で強みのあるハウスメーカーを選ぶとよいと思います。
こうすれば希望から逸脱するといった間違いは避けられ、この段階で少なくとも当初の半分以上は目的を果たした選択となるはずです。
例えば私の場合は、「利便性の高い立地と併せて災害に強い家を建てたい」という希望がありました。
私は、不動産屋でも探しましたが、結局、たまたま土地の希望条件が合致したのが大手ハウスメーカーの分譲地で、立地を考えるとここしかないという好条件の土地でした。
そのため、そのハウスメーカーの分譲地で家を建てることに決めました。
当然、ハウスメーカーの建築条件付きの土地でしたが、家自体も地震に強い鉄鋼構造で災害に強いという希望条件を満たしていました。
そのため、そのハウスメーカーで家を建てるという選択の方向性にブレはありませんでした。
結局は “自分が何を重視し、譲れない項目が何かが明確になっていること” が重要です。
大手ハウスメーカーで家を建てるメリットとデメリット
改めて、大手ハウスメーカーで家を建てるメリットとデメリットについて考えてみましょう。
まずはメリットをご紹介します。
メリット
家の性能
大手ハウスメーカーの家では以下のようなメリットが考えられます。
- 災害に強い耐震性
- 高い断熱性能
- 優れた防音性
- 全館空調(オプション)
- 専用設備設計
- 優れた外観を生み出す高品質な建材
大手ハウスメーカーの家を持ちたいと思っている人の多くは、当然のことながら快適に住める家を求めています。
家の性能の各項目は、ユーザーでもハウスメーカー毎に比較検討しやすいので、ユーザーが特にこだわるところです。
ハウスメーカーもそこはよくわかっており、家本体の性能を重視するユーザーに対し、宣伝広告費をたくさんかけて、アピールしています。
もちろん家の性能自体は、各ハウスメーカーが競い合って、商品の差別化を図ろうとしているので家の性能はどこのメーカーも高いです。
大手ハウスメーカーは、潤沢な資金力を発揮して巨額の設備投資を行い、研究開発を重ねて高性能な家を造り上げています。
実際にハウスメーカーの工場見学や住宅展示場にある展示物や資料を通じて、大手ハウスメーカーの優れた技術力を確認することができます。
家の性能についても やはり “ユーザー自身が何をどのレベルまで希望するのか” によって決まります。
家の性能を”どこまで希望通りの家にするのか”、”妥協ラインはどこまでか” など予算とも相談しながら、自分自身で判断しなければなりません。
オプション設備
大手ハウスメーカーは一般的に、オプション設備は多く、比較的選択肢の自由度は高いといえます。基本的には希望に沿った選択ができるはずです。
一部の販売促進用のセットを除いて、オプション設備は付けばつくほど、ハウスメーカーの利益幅は大きくなります。
そのためハウスメーカーはオプションをつけ易く出来るよう、オプションを豊富に準備し、ユーザーに買ってもらうために必死に売り込んで、営業トークしてきます。
オプション設備の要否は ”自分が希望する機能が実現するか” を基準軸としましょう。
オプションとして検討されるアイテムの一例を以下に示します。
- 太陽光発電や自家発電(設備の機能を十分に引き出せるように専用設計された省エネ住宅を建てられる。専用設計なので後付けするより建材やスペースに無駄が生じないメリットがある。)
- 全館空調
- システムキッチン(メーカーによって戸数限定ではあるものの、格安の内装装備を購入できる場合がある。)
- 玄関、勝手口のドア
- バス、トイレ、洗面台
- 照明や屋根のタイプ
- 玄関やエントランス
- 外壁(タイルなど)
- リビング等に設置するデザイン小窓
- 本棚、靴箱
- 特殊用途の部屋(防音室、強化床など)
- 外構(カーポートなど)
オプション設備は豊富に準備されており、選択肢はかなりあるはずです。自分の予算も考慮しつつ、優先事項を確認しながら、オプションをつけるか決めましょう。
1年後に “あのオプション要らなかった・・・” という事態にならないようにしましょう。
高品質施工
各ハウスメーカー毎に独自の建材を研究開発しており、見た目も機能も高性能の家を建てられます。
ただしデザイン面においては、デザイナーズハウスとまではいきません。
しかし近年の大手ハウスメーカーは、ユーザーの希望に合わせて、内外装で、和風、洋風、モダン調と、いくつかのパターンから選べて、非常に美しい仕上がりにすることが可能です。
ただし、残念なことにこだわればこだわるほど費用は上がります。
また施工品質についてですが、大手ハウスメーカーは施工を行う職人を、好条件で自分たちの会社に囲い込んでいます。
このために施工作業の品質は平均水準以上と言えそうです。
作業に問題があった場合も、こちらで気づいて依頼すれば、問題個所のやり直しをしてくれることも多いです。
メンテナンス
また資金力のあるしっかりした大手のハウスメーカーほど、会社の経営基盤がしっかりしています。
50-60年後に会社自体がなくなり、家の保証そのものがなくなるリスクも減るのです。
中小の工務店で建てた家の場合、施工依頼した会社そのものが廃業し、メンテナンス含めた家の保証がなくなるというケースも発生しています。
デメリット
一方、デメリットについても考えてみましょう。
コスト高
・大手ハウスメーカーの最大のデメリットはやはりコスト面で高額ということでしょう。
工務店等と比較してかなり高額になります。大手ハウスメーカーや家の仕様によっても違いはあるでしょうが、坪単価で60~100万円くらいです。
単純比較では、工務店や安価なハウスメーカーと比較して坪単価で1.5~3倍程度割高になると思われます。
ただし価格は高くなりますが、家の長期点検や長期保証が大手ハウスメーカーには含まれているので、簡単には比較しにくいところです。
低コストで家を建てようとお考えの場合、特に検討が必要なところです。
担当者との駆け引きの対応
担当営業者との相性が悪いと、家を建てる初回打ち合わせから事を運ぶのが難航します。
大手でも新入社員~入社2,3年目のような若い営業マンで営業部を構成しているハウスメーカーもあります。できるだけ担当者は選んだほうがよいでしょう。
上記は一例となりますが、例えば、私が家を建てた時には、県下No.1の実績の名の通ったハウスメーカーで家を建てることに何の不安も持っていませんでした。
例えば車でいえばレクサスのディーラーで新車を購入するようなイメージを持っていました。
何千万もの高額ローンを組んでいるので、その金額に見合ったサービスを大手ハウスメーカーから受けられ、スムーズに家づくりも進むだろうと考えていました。
ところが実際には、名前の通った大手ハウスメーカーであるにもかかわらず、家を建てるまでに驚くような不手際の連続でした。
“一生に一度の高額な買い物といわれる家にもかかわらず、購入者に何故、これほど質の悪いサービスを提供されねばならないのか・・・”、と実感せざるをえない状況になりました。
この原因は、上記の担当営業者との相性や経験・能力不足と、彼らを教育・雇用しているハウスメーカーのビジネスの姿勢に問題の要因があるのです。
それでもやっぱり憧れの大手ハウスメーカーで家を建てたいという方に対して、そのハウスメーカーの家の情報収集について次項に記しました。
間取り等の設計自由度
大手ハウスメーカーは車でいう5ナンバー車、3ナンバー車、軽自動車のように、家のグレードでパッケージ化をして商品(家)の価格グレードを設定しているため家の間取りに自由度がない場合があります。
(一方で、逆に家の間取りとデザインを両立させたパッケージに力をいれているハウスメーカーもあります。)
というのも展示場のモデルハウスと異なり、多くの場合、リアルサイズの家は建坪約30坪サイズの限られたスペースなので、理想の間取りを作りこむのは、なかなか難しいです。
大手ハウスメーカーでは、一般的な間取りの標準パッケージにして、家の中も外も無難にまとめようとしてきます。ただし、ここは設計担当者の当たり外れによるところも多いです。
こだわりのある人は自分の希望をしっかり伝えるのが良いでしょう。
特にこだわりのないユーザーは、標準的なパッケージのため、大きな不満はでないと思います。
住宅展示場の利用
よくインターネットや情報誌に、“住宅展示場には行くな!”というタイトルの記事を見かけます。
これらはハウスメーカーの営業マンからしつこく勧誘がきたり、自分のペースで検討できない、または担当者が勝手に決まってしまうという理由で書かれているようです。
ここは考え方にもよると思いますが、“現物を見ないで、カタログやメーカーのHPだけで大事な家を検討することはできるのでしょうか?” と私は個人的に思っています。
興味のないハウスメーカーからの勧誘メールや電話は断ればいいので、私は近所の住宅展示場へ足を運び、確認しに行きました。
住宅展示場は一部の地方を除けば、思っているより多く各地に存在しています。
住宅展示場は、各ハウスメーカーの家を一度に見ることができ、且つ比較できるので非常に効率的に情報収集ができます。
展示場内を歩いてモデルハウスを外から眺めていて、気になるハウスメーカーの家があれば、受付の人に声をかけて中を見ることができます。初回は事前の予約も不要で便利です。
実際に訪問し説明を受けると、どこのハウスメーカーでも対応はほぼ画一的で、大きく変わりません。
営業マンが見学者にくっついて中を案内してくれ、家の良い点についてアピールや詳細説明をしてくれます。
最後はアンケートで家を建てようとしている希望時期、住所や電話番号を取られます。
後日、営業担当者から電話やダイレクトメール等で頻繁に連絡が来ます。
また家を建てる上でまず土地が必要になりますが、ハウスメーカーは家だけでなく、土地の斡旋や分譲地の売買もしています。ハウスメーカーは利益が出る土地も一緒に売りたいのです。
買い手は、ハウスメーカーの提携不動産屋から土地の紹介を受けるか、ハウスメーカーの建築条件付きの分譲地を購入するのが普通です。
買主は立地等の希望条件と価格を考慮して、その土地に相応の価値があるかどうかを見極めてください。
展示場でも土地の情報を得ることができます。
住宅展示場のモデルハウスと実際に建つ家との違い
住宅展示場のモデルハウスとユーザーが建てる家では、恐らく品質に大きな差があります。
展示場で見た家とは異なるということをはじめから(見に行く前から)理解しておくとよいでしょう。
家を建てたいという人で住宅展示場に来る人は大筋、以下のパターンではないでしょうか?
- とりあえず見せてもらって家全体の説明を受けよう。
- とりあえず見て、新築する自分たちの家をどうしたいかの雰囲気をつかもう。
- あらかじめ勉強してきた間取り等のイメージを確認しよう。
ハウスメーカーの営業マンは、実はお客の思惑はすでに想定しているので、これを 逆手にとって説明してきます。
モデルハウスは大手ハウスメーカーにとって自社アピールの場以外の何者でもありません。
実はハウスメーカーはお客さんの家を建てるより、何倍も気を使ってモデルハウスを建てているのです。
モデルハウスは最新の高価な設備をふんだんに取り入れて製作されています。一回作ったら当面の間はお客さんに自社の家のすばらしさをアピールできるよう、モデルハウスとしての役割を最大約5年程度果たせるように寿命を設定して建てているからです。
しかもその役割を終えても、鉄骨の移築可能なタイプのモデルルームの場合、自社のキャンペーン目玉としてお客さんに抽選で七百~二千万円未満でお客に提供しています。
(ただしこれにはからくりがあり、これを購入すると、新築より高価になる可能性があることはあまり知られていません。)
自社の最大の宣伝効果を見込め、かつ家の原価費用の一部を回収をできるようになっているのです。
ハウスメーカーからしたら、何も知らない素人同然のお客さんの相手がほとんどなので、 お客は営業マンのいう事をほぼそのまま頭にインプットしてしまうことが多いです。
ユーザーは後日、展示場で営業マンの言っていたことを冷静に分析するとよいと思います。
モデルハウスは、実際によく建てられる敷地50坪、建坪30坪程度の大きさの家より、広い敷地、建坪であることがほとんどです。よく見かける一般的な建坪30坪程度の家の1.3倍~2倍 くらいの広さのことが多いです。
家の大きさ、室内空間だけとっても、リアルサイズの家とは異なるうえ、壁紙、カーテン、家具などもよく見えるものを揃えて、自社のインテリアコーディネーターが、手間暇をかけて仕上げているのです。
住宅展示場の訪問は、実際のハウスメーカー毎の家の特色の確認と、自分がどんな家にしたいかのイメージやヒントを得るのを目的とされるといいでしょう。
家の技術的説明を受けたり、自分の家に対する希望条件を満たすのかどうかの確認ができます。
住宅展示場の確認で気を付けるべき点
注意点としては、多くの場合、見学時についてくれた営業マンが自分の担当営業となります。
展示場には1~3人くらいの営業マンが交代で常駐していますので、タイミングをうまく見計らい、よさそうな営業マンから案内と説明を受けるとよいでしょう。
担当者とは家の完成までずっと付き合って行くので、どんな人が自分の担当になるのかは非常に重要です。
私の場合は入社2年目の若い新人が担当になってしまい、建築士の資格もないどころか、 こちらから見て、きちんとした仕事ができていないように見えました。
設計段階でもその人が担当するので、ひと悶着の末、担当を変えてもらいました。
大手ハウスメーカーの担当が自分の家づくりに与える影響は本当に大きいので、もし外れの担当者に当たったら早めに担当を変えてもらうようにしたほうがいいでしょう。
ハウスメーカーの選定
大手ハウスメーカーで家を建てる場合の選定について具体的に見ていきましょう。
家づくりのこだわり条件、優先事項に合わせたハウスメーカーの選択
大手ハウスメーカーで家を購入しようとする場合、自分の希望条件に合いそうな数社に候補を絞ります。
自分の希望条件を明確にしていれば自然と数社にしぼれるはずです。大手のハウスメーカーとのやり取りは予想以上に時間のかかる作業なので、早いうちに2社くらいまでに絞りこみましょう。
私の場合は早めに2社に絞り込みましたが、毎週の打ち合わせや実際の家の見学会、工場 見学など、思いの他、時間の確保だけでも大変でした。
また大手ハウスメーカーは、お客が自社以外に複数のハウスメーカーを検討することは当然知っているのですが、こちらがハウスメーカーを選定するのと同様に、彼らもユーザー(お客)の品定めをしています。
お客が展示場に数回足を運んだり、アンケートの記入内容等で、その客が本当に購入する気があるのか、購入できるだけの資金力と経済力があるのかを見ています。
こちらもそれを承知の上で、誠実かつ、こちらの要望を満たせる提案ができるハウスメーカーを選ぶようにしましょう。
土地選びとそれに関連したハウスメーカーの選択
家を建てる際の購入パターンは以下に分けることができます。
1.土地も家も新しく購入
2.分譲新築建売物件を購入
3.現在古い持ち家に住んでいて家のみ建て替える
ハウスメーカーを絞るうえで、最も多いパターンの“家+土地のセットで購入する”パターンについて考えてみましょう。
ここで家を建てる上で最も重要度の高い土地について考えてみます。
大手ハウスメーカーは、家を売るために、資金力を武器に土地を購入して確保しています。
ハウスメーカーが単独で、ある程度の規模のエリアを分譲地として、いわゆるスマートタウンという小規模なコミュニティーを形成するケースが増えてきています。
実はこの“土地の確保と提供ができるか“が、家本体と同じかそれ以上にハウスメーカー選定の差別化のポイントとなりえるのです。
折角、家を建てるなら、立地の良い場所で不便なく快適に暮らしたいですよね。 予算の都合で土地代を削って費用を抑えるという考え方もありますが、よくよく考えたほうが良いでしょう。
私の職場でも家を建てた人の中にそういう人が何人かいました。
安い土地には必ず理由があります。 地盤の弱い土地であったり、海岸沿いに立地していて標高がゼロメートルに近い土地で地震や津波等の災害時のリスクが高い土地が該当することが多いです。
安心に快適に暮らしたい家なのにそんなリスクを背負うのは止めたほうがいいと思います。
資金力のある大手のハウスメーカーほど、安全安心の一等地とセットで家の購入を勧めてきます。
よい土地をたくさんキープしている大手ハウスメーカーほど、会社の経営基盤がしっかりしているため、50-60年後に会社自体がなくなる可能性も低く、家の保証がなくなるリスクも減るのです。
以上から以下を参考に、あらためてハウスメーカー絞り込みのポイントを考えてみてください。
1. 立地が良く、安全、安心な土地を確保し提供できるか。
2. 買主の希望条件を満たせそうか。
3. 営業担当者含め、会社として対応がきちんとしていそうか。
4. 会社自体が将来なくなる可能性はないか。
私の場合は上記を考慮して、2つのハウスメーカーに絞りました。
最終的に、家本体の安全性や性能に大きな差がなかったので、土地の立地で良い条件が提示できるハウスメーカーを選択しました。
結果、営業担当が力不足、努力もそれほどしていない方のハウスメーカーが、良い立地の 土地をおさえていたので、そのハウスメーカーに決めました。
結局のところ、ユーザーが何を優先させるのかにもよりますが、“土地の確保と 土地の提供ができるか“ が、ハウスメーカー差別化のポイントとなりえます。
落選したもう片方の候補のハウスメーカーは、営業担当がとても頑張っていて、誠意ある対応を示してくれていました。
しかし残念ながら、良い立地の土地をこちらに提示できなかったのです。
大手ハウスメーカーで建てる家の価格や見積もり額
ここで家を建てるにあたっての費用についてもお話ししていきます。
家を建てるにはいくらかかる?
注文住宅の場合、どのハウスメーカーもライバル会社へ発注がとられることを警戒して、具体的な家の間取りのドラフトが作成するまで、価格はなかなか教えてくれないことが多いです。
相見積もりを取ることで候補となるハウスメーカーの具体的な提案の家の比較ができるのですが、正確な金額の相見積もりは最後のフェーズに近づくまで取得しにくいです。
というのも各ハウスメーカーはそれぞれ異なる間取りやデザイン、内外装設備の提案をしてきます。
具体的な話が進まないと仕様も決まらないため、正確な値段も出せないという理由があるからです。
私の場合もそうでしたが、恐らく出てきた初回見積もりは概算にも関わらず、最初に自己申告していた希望購入金額とあわない金額が提示され、驚くことになると思います。
目安として敢えて言うなら、あくまで参考ですが、一般的な敷地50坪、建坪30坪の大手ハウスメーカーの家なら土地+注文住宅の購入に、およそ4000~5000万円前後かかります。
私が当時家を建てた東海地方では、土地が坪あたり15~50万円、家はハウスメーカーによりますが坪あたり60~100万円程度の費用でした。
地域によって土地の値段にかなり幅があり費用総額に影響してきます。安い土地は災害リスクが低くない、または宅地にあまり適さない土地です。都心では土地はさらに高額になります。
大手のハウスメーカーは、こちらの年収を自己申告させて、ローンを組んだら買える。という皮算用をしており、“これくらいの費用は掛かるのは当然”と言ってきます。
ユーザーは、自分の予算と会わない場合には、勇気をもって ”家を建てる計画そのもの” を見直すことも視野にいれておきましょう。
建売物件をお得に購入する
注文住宅でなくてうもよいという方もいらっしゃると思います。
建売の家を購入する場合についてもお話ししたいと思います。
売れ残っている建売物件を購入検討する場合
建売物件はすでに建てた費用がはっきりしているので、金額は明確に提示されます。
建売を購入するつもりの方は、類似の複数物件で見積もりを取って、自分の希望条件と予算にあえば建売物件を選べばよいと思います。
建売を希望する人は、自分たちで間取りを決める作業等に検討する時間的余裕がなかったり、間取り等を自分たちでは決められないという理由から、ハウスメーカーに家づくりは任せて、実物を見て、良かったら購入しようという人が案外、多いためです。
実際にご近所の、建売物件を購入した人に後で聞いたところ、上記の理由が該当する方が少なからずいました。
建売物件は、物件を建ててから1~3年の間に売れないと、ハウスメーカ-は維持費の増加を懸念します。
これによって大幅な割引をして処分しようとするので、新築の注文住宅よりかなり安く買えるというメリットが出てきます。
こんな事情もあって、数年間売れ残っている建売を狙って購入検討する人は意外と多いようです。
ただし、これらの物件は、建ててから時間が経過した関係で、エアコンや給湯設備、太陽光発電設備等が2~3年前のものであったりと、設備の寿命もその分だけ短くなっていることは承知しておくべきでしょう。
数十年暮らすことを考えると大きな問題にはならないと考えることもできますが、“設備面で最新のものがよい“ というこだわりがある人は注意が必要でしょう。
物件自体がユーザーの希望に沿ったものであり、納得して購入するなら ”お買い得な物件” ということになります。
ただし後になって ”やはり注文住宅にすれば良かった” ということにならないよう、十分検討の上、判断されると良いでしょう。
大手ハウスメーカーで建てた家の売却価格、資産価値
私は、仕事と家庭、諸々の事情で家を手放さなくてはならなくなったのですが、不動産売却の一括サイトを活用し、依頼するのに適切と思われた不動産業者を選びました。
家の価値を正しく評価してもらえることを期待して、家を建てたハウスメーカーの不動産屋に売却を依頼しましたが、対応が良いとは言えず、結局、売り出しから半年後に地元の不動産屋と併わせて売却を依頼しました。
家は通常10年で資産価値がなくなるのが不動産業界の一般常識です。基本的にはこの原則があてはまります。
私の場合は築3年で売却することになりました。
しかし中古物件の適切な価値を維持するため、大手ハウスメーカー一同が取り決めたスムストック制度というものが存在します。
各大手ハウスメーカーが最長60年の保証をしている高品質の家が、”画一的に10年 経ったら資産価値0円” になるという不動産業界の常識はおかしいという異議を大手ハウスメーカー一同が唱えて出来たのが本制度です。
この制度と築浅(3年)ということもあって、私の家は ”とても程度の良い家” という高い評価を不動産屋が出しました。
このような経緯から、売却はこちらの希望も含めた形でうまく進みそうでしたが、実際は それほど甘いものではありませんでした。
家の売買では ”不動産に高い評価がつく” のと ”その評価額で売却できる” は、全くの別問題となります。
買い手がつかなくては、“売れない”ということです。
結果的にはローン残高に遥かに満たない額で売却となりました。数年でこれほど不動産の価値が下がってしまうのか・・・という敗北感と挫折感を味わいました。
ハウスメーカーの家は将来的に売却しやすいって本当?
一般的に大手ハウスメーカーの家は通常の工務店の家より品質が高いことから、高めの値が付き、人気になることが多いです。
中古住宅を購入する側としても、なんだかんだ言ってもブランド好感度の高い高品質なハウスメーカーの家のほうが安心できるという理由からです。
不動産屋に聞くと大手ハウスメーカーの家の方が買い手には評判がいいようで、”家の作りや施工がしっかりしている” ということが主要因とのことです。
私の場合は、家が長期優良住宅に適合・認定されていて、家の立地も家自体も問題がなかったにも関わらず、買い手がなかなかつかないという状況になりました。
初めの不動産屋の宣伝や対応にも問題があったのですが、ハウスメーカーの家だから売却 が有利に働いたとは言えませんでした。
需要と供給のバランスがなければ、物件そのものの価値にかかわらず、売却は うまくいきません。
今後の配信予定
今後は家の建て方と売却についての各プロセスを個別で、より具体的な詳細情報を順次アップしていく予定です。
新築で家を購入する方も、自分が購入した不動産の価値がどれだけ維持されるのかについても興味をもって、関連記事を読んでいただけるのではと思います。
これからも参考になりそうな関連記事をアップしていきますので、よろしかったらご覧ください!